子供の頃の私から今の私へ

私は小さい頃はある程度何でもできるというタイプで、
勉強もかけっこも体育もそこそこ出来て、苦手な事と言えば給食の時間。
好き嫌いが激しく野菜全般がダメだった私は、
昼休みに入ってもじーっとスープや煮物を眺めていました。
小・中となんとなく自分はそういう人間なんだなと生きてきましたが、
高校に入ると、実は自分は運動センスが低かったのだと気付かされます。
水泳大会で飛び込みをするとへっぴり腰で笑いが起き、
ボールを投げるとフォームがめちゃくちゃで笑いが起き、
全力で走ると女子と変わらぬタイムで、
マラソン大会は腰椎椎間板ヘルニアにて出場不可。
柔道部の顧問の先生には「抜群にリズム感がない」とご評価を頂きました。
ただ唯一バク宙ができることが自慢でした。
大学から始めたブレイクダンスも、やはり欠落していたリズム感と身体協調性が浮き彫りになり、
発表した学園祭のDVDは黒歴史として今も封印しています。
自慢だったバク宙も、一度失敗して顔面着地をして以来怖くて出来なくなってしまいました。
社会人になり運動はほとんどしなくなりましたが、
ヨガと出会い、これならば自分に向いているかもしれないと、現在も継続できています。
大嫌いだった野菜も今では大半克服し、
30代に入って、ずっと苦手で避けてきた生魚を美味しく食べられるようにもなりました。
記憶力が小さい頃からの自慢でしたが、
今では80代の患者さまと「あの人の名前なんだっけ?!」と喉と頭を掻きむしる毎日です。
私達は戻ることなく進んでいく

私達の身体はいつだって変化をしていきます。
昨日できなかったことが、今日できるようになることもありますし、
その逆もあります。
さらに言えば筋機能というのは、20才をピークにどんどん低下していきます。
体重も常に一定という訳ではありません。
身長も、組織の水分量が減ったり、長年の負担により骨や軟骨のカタチが変わり、低くなっていきます。
私が小・中学生の頃に「なんとなく自分はこういう人間なんだな」と思っていたものは、ただその時の状態というだけで、
本来人間は変化をし続けるものであり、同じままであり続けることはありえません。
沢山の出会い、刺激、趣味、姿勢、癖、生活リズムなどの影響を受けて、
変化をしながら、それらに対応する形で保っています。
積み重なる負担と変化する機能の結果、身体のどこかに異常を来たしてしまうのが【慢性症状】です。
豊かな人生の結果、姿勢が変化したり見た目が変わってしまうことがあります。
私は、「それもまた美しいな」とよく思います。
ご本人が現状に満足をされていて、痛みやツラさがないのであれば、どんな姿勢も“いい姿勢”です。
ですが、もし痛みやツラさなどで日常生活に支障を来たしている場合、
または1度でもその経験がある場合は、
私はやはり身体を何かしらでケアした方がいいと考えます。
変化は常に起こっている為、ご自身では本当に大きな変化にまで達さないと気付きにくいものです。
些細な異常がさらに他の小さな異常を作り、
症状が現れた時には、もうその状態から脱するのが困難となってしまっている方はとても多いです。
ですが、もし長い期間症状が続き、諦め気味になってしまったとしたら、
それは尚早です。ご安心下さい。
先程からお伝えしているように、私達の身体は一生涯、常に変化をしています。
そのままであり続けるということはあり得ません。
放っておけば悪化という道に向かっていきますが、
良い刺激、適切な動きを加えることで、現状よりもいい方向に向かうことは充分あり得ます。
「元に戻りますか?」
という質問をよく頂きますが、
身体において、人生と一緒で“戻る”ことはあり得ません。
ただ‟変化の方向に進むのみ”です。
「何もしていないのに・・」
「何かしたのかな・・」
とお考えになる方も多くいらっしゃいますが、
私達は絶えず、生きている限り“何か”をし続けています。
だとしたら、身体が喜ぶことをしてあげましょう。
一生涯を共にするこの身体がその実力を発揮できるようにできることは、沢山あります。
身体のケアなんてわざわざする必要があるの?
はい。あると思います。
私達はどうしても変わっていくから、
せっかくなら少しでもいい方向に進み、変われるように。
どんな些細なことでも、その身体への気遣いや正しいアプローチは、
生まれてから今この瞬間までずっと変化しながら
アナタのために尽くしてくれた「自分の身体」というパートナーが
これから先少しでも楽な道を歩けるように導く、光の手綱になります。